オーストラリア サーフィン情報





 アンドリューキッドマン
 Date of Birth : 1970年8月7日

 映像製作者 音楽家 
 サーフボードシェーパー 
 詩人 写真家  
 サーフジャーナリスト,,,

 サーフィンを様々な分野で具象化し
 ていくオーストラリアの若手サーフ
 クリエーター

 次作「グラスラブ」は世界各地でのロケを終え
 た。完成は2004年7月予定。現在はNSW州
 バイロンの山奥の自宅で最終編集中。また
 映像に合わせて数曲がレコーディングされ
 ている。

 出演はニールパーチェス、デレクハインド、
 スティーブペズマン、トムカレン、スキップ
 フライ、ジョエルフィッツジェラルド、ガスディ
 ッカーソン他。
 サーフィンフィルムの「バラッカ」に成り得る
 作品。アルバム「スペースインビットウィーン
 」の”ナラビーン”がタイトル曲である。


    写真    アンドリューキッドマン、アンディーデービス、ヒューマックロード、ジョーカレン、マーシャルハットリ、矢口唯史
    ストーリー 矢口唯史



Gig at Avalon

アンドリューがニューポートからバイロンの山奥へ引っ越したのは昨年7月だったと記憶する。寒い日の朝、アンドリューの家前には次々と段ボールが引越屋の大きなトラックが積み込まれる最中だった。でも数本のサーフボードとギターはアンドリューの車、ボルボのワゴンに丁寧に重ねられていた。ミックモックや近所の友人が別れを寂しがるかのようにアンドリューとニューヨーカーの奥さんミッシェルに会いに来た。ともかく寒い朝で波はでかくオンショアー、「神さま、北へ800キロの海岸線に美しいうねりとオフショアーの風と強い日差しの太陽をもたらしたまえ」 普通なら12時間から15時間で行けるところを1週間かけてアンドリューはバイロンの山奥にたどり着いたという。

それから半年後、アンドリューは1回のGIG(ライブ)のためにシドニーノーザンビーチーズアバロンへ遠路戻って来た。サポートはボーヤングのボーカルとギター&ドレッドヘアーのギターリストのデュオ。ボーヤングは言わずと知れた2000年度プロロングボードの世界チャンピオン、で、あのナットヤングの息子である。1960年代から問題児として自由気ままなサーファーを演じてきた永遠の不良ナット、最近ではアバロンで飲酒運転で捕まりマンリーの簡易裁判所でFaaark!を連発して、結局反省した素振りを見せてくれたり、ともかく健在なり。その分、息子は目立たない?現に2000年度のロングボードの世界チャンピオンなのにメディアに余り登場しないと感じるのは筆者だけであろうか?ボーのサーフィンを見る機会を得たが近くで見るとその上手さが解る。スタイルが確立している。 9プラスのロングが折れて半分になってもそのサーフィンは変わらない、つまりテイクオフのポジションに高い創造性がある。世界チャンピオンだからサーフィンが上手いのは当たり前だが、ギターと歌も上手く個性的だ。枯れた歌声、自然を賛美するリリックス、スムースなギターワーク、ボーは「コピーするのが苦手だから自分で曲を作り始めたんだ」とモナベールのカフェで言っていたを想い出す。

その晩、夜の9時を回った頃、アバロンのRSLにはいつもとは異なる客層の一団が集い始めた。土曜の晩は地元のロック、パンク、グランジ、ブルースバンドの類がライブが多いから客層も若いのが常である。しかし今宵は普段ノースアバロン、ウエールビーチ、パーミーといった格式高いサーフポイントで見かける紳士サーファー達が一同に揃った。ニューポートのサーフハウスのオーエン兄弟、バートンリンチ、KEYOのジョンギル、LSDサーフボードのルークショート、ブルースチャノン、ヒューマクロード、会場は300人を超え入場制限がかかる。昨年のPICOのノーザンビーチーズでのラストライブ、4BOLT、最近では6月のビューティフルガールズ以来である。カウンターにはアルコールを求めて長くて厚い列が出来ている。余談であるがパブのカウンターでアルコールを注文する順番は割り込みも譲り合いもない。正確さのみが回りの人間関係を築く。

サポートを務めるボーヤングはドレッドのギターリストと交代で運転してタロービーチから800キロ走ってきた。オリジナルを数曲歌った後に、映画「モーニングオブジアース」から「シンプルベン」を歌った。映画「シェルター」の中でロブマチャドやケリースレーターが映画「フリーライド」の中でギャラガー&ライリーの「ステイヤング」を演奏していたのに対抗していた訳ではないのであろうがボーの選曲はオーストラリア的であった。途中ドレッドのギターリストはフォークギターからドブロに持ち替えブルージーなナンバーを奏でる。約30分間、途中にサーフィンの話を交えた良いライブで長老達は明らかに満足していた。

休憩後、アンドリューキッドマンの登場。奇妙な黒ジャケット姿で、先ずはアルバム「スペースイン」から「ブラッドオンウアシャドウ」、ボブディランの60年代の古いナンバーなど5曲を弾き語りで歌った。続いてロージーサザーランドが登場して、「リトマス」からテーマ曲の「レイン」。深い歌声に映画のシーンが浮かぶ。ロージーサザーランドのアカペラからアンドリューのギターが絡み、ドラム、パーカッション、ベース、2本のエレクトリックギターがゆったりと重なる。スキャットが澄み皆固まって聴き込んでいる。ストーンだね。ボーとドレッドのギター弾きはステージ最前列中央で禅を組んで聴きハマッている。アンドリューの他2人のギター、ベース、ドラムス、キーボード兼パーカッションの5人編成バンドは燻し銀を奏でる。約1時間、”The dice already thrown”で終わった。アンコールの声。どんどん大きくなり床を踏み鳴らす音は揺れに変わりアンドリューが再びステージに現れた。歓声に中、バンドが揃う前に弾き語りで歌い始めた。目をじっと瞑り、

“Crashing through the window again of love again
 tread gently my freind
 For you are holding a womans heart in your hands
 tread gently my friend
 I'm still here
 Sun down seasons ,,,,,,”


この歌詞は後日アンドリューが送ってくれたクリスマスカードに記されていた。短い弾き語りの後、一瞬の間が空き、Eマイナーで「ナラビーン」のイントロリフが始まる。リードギターがテーマを弾き始めると会場は大きく揺れ出す。セカンドギターが絡みオルガンが重圧に畳み込んでくる。「ナラビーン」とはもちろんノースナラビーン、あのレフトハンダーの波である。1982年グラジガンから戻ったばかりの抱井さんに最近はどんな音楽を聴いているか訪ねる機会を得た。答えは当時流行っていたポリスの「見つめていたい」、YOUを波に置き換えて聴くと解り易い、そんな事を話して頂いた記憶がある。でもこの曲はインストルメンタルで歌詞はないが、リズム、メロディー、演奏、最初から全部サーフィンしている。演奏後バンマスのギターリスト、ブラッドは一杯飲みながら「アンドリューの奴、ナラビーンの前にあんな歌、予定もなかった。奴はいきなりアドリブで何かをやる。だからバンドは合わせるのに必死だよ。」。アルバム「スペースインビットウィーン」の最後に収められているインスト「ナラビーン」前に弾き語りのパートを付けた。その場に応じて創る姿勢は波とシンクロするサーフィン同様にライブでも同じであった。

演奏曲目
Blood on your shadow
If thet only knew
Mamma you've been on my mind
Flowers in the window
Marilise
Rain
Time
Whte as snow
Speechless
Devils dealing
Levels
The dice already thrown
Narrabeen

 


<Back>                        -10-                      <Next>

 Chapter

 01・・Intro.
 02・・Litmus
 03・・・・・“The Children of
          Morning of the Earth
 04・・・・・ウエインリンチ
 05・・・・・デレクハインド
 06・・・・・マークオクルーポ
 07・・・・・ジョエルフィッツジェラルド
 08・・・・・トムカレン

 09・・Sound
 10・・・・・Gig at Avalon
 11・・サーフボード
 12・・サーフジャーナリスト